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船井流経営法はどのようにして生まれたのか

03.内海編 船井総合研究所を知る
2022.6.3

#船井流経営法とは #経営手法 #企業研究

(宮井)「今回は船井流がどのようにして生まれたのか」ということを岡さんにお聞きしたいと思います。

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創業者船井幸雄の選択眼

(岡)船井流というのは、創業者である船井幸雄さん(昭和8年生まれのコンサルタント)が、自分自身が社会に出てから様々な経験をし、それからコンサルタント会社に就職し、1974年3月6日に船井総合研究所の前身となる日本マーケティングセンターを設立しました。

設立したとき、前職は日本マネジメント協会の大阪の理事をされていましたが、そのときに既に人気コンサルタントだった船井幸雄さんにはクライアントが多くいました。
自分が独立に際してあまり迷惑もかけられないことと、きれいに自分の事業をやりたいという思いがありました。
当然食べていくためにいろいろな困難もあったと思います。
そういう思いが原点としてありました。

元々は一人で気楽にコンサルティングをするつもりでしたが、日本マネジメント協会の時にいた6名ほどの社員がついてきました。

ご本人の資料にも残っていますが、
「これは大変、人を雇うと給料も払わないといけない。」

ある程度のんびり仕事をして、評論家のような立ち位置でテレビにも出ていたし、結構有名だったのでいろいろな取り組みができたと思います。
けれども、若く経験値の少ないコンサルタントを食べさせながら、コンサルティングをしないといけないということで、人を使いながらコンサルティングをすることを突然求められました。

創業者は色々考えた中で、前の会社には迷惑はかけない、それでもやはり船井さんの考え方がいいということでついてきてくれた会社が数社あります。
繊維関係の会社や、当時生まれてきてた流通業、量販店やチェーンが多かったです。
独立前はメーカー、繊維メーカーなどのコンサルティングが多かったので、商業や小売りを中心にやればいいか、小売りはこれから伸びるということで、いろいろなことにチャレンジをしてコンサルティングをしていきました。

もう一つは自分のコンサルティングのドメインを変えて、自分で切り開いていく中、アメリカからきた経営理論、経営手法、管理手法で、合理的な経営で小売業をやってみたらあまりうまくいかなかったらしいです。
初期段階がうまくいかない中で、これはいけない。
書籍にも書かれていますが、今まで言っていた常識を疑い、真逆のことや違う視点で取り組み成功しました。型に決まっているとか、戦略的にこれが正しいという小売業や、特許もない、マニュアルもない、あるかないか分からないということを中心にコンサルティングをしてるとそうなりがちだと思うんです。

初期段階はまだ完成度も高くない。
その中で成功事例を増やして、やがては成功確率100%と称されるまでに。
その要因として、良くも悪くも船井幸雄さんらしい選択眼がありました。

「プラス発想、素直、勉強好き」という、成功の3条件の要素を持っていない方とは、お仕事したくない、結果が出にくい、こういう思いがありました。

ベースとしてそれがない人とやるのはしんどいと、自分たちの会社ではとこういう思いが当初ありました。

ユニークな「長所進展型」コンサルティング

(岡)自分たちも小さな会社の小さな体制、大きくなったとしてもまだ若々しくて、まだレベルも向上していない、固まってないような企業をコンサルティングする中で、船井幸雄さんが取り組んだのは「長所伸展」です。

長所を伸ばしていったら、短所にとらわれることもない、目立たなくなります、ということをやっていました。
長所伸展というやり方は、手法や今の時点でこれをやりなさいということではなく、組織や形態が持っている強み、強みというのもライバルと争ったら負けるようなレベルではなく、伸ばしてあげるものを見つけて上手く伸ばしていく、このやり方は当時ユニークでした。

今でも世のコンサルティングは欠点を指摘して、これが全然できていないからこうやっていきましょう、というやり方が一般的です。
船井総合研究所では長所伸展と言っていますが、そのようなことを言っている会社はあまり多くありません。
コンサル会社は先生のように、ダメな人にダメですよと言って是正するというアプローチで仕事を取る会社が多いです。
「落ちこぼれを普通にします」ということで、仕事を取る人が多いです。
ところが船井総研はノウハウとやんちゃです。
やんちゃな学生をこの子はスポーツが好きだとか、音楽の才能があるから伸ばしましょう。
というように自由な感じです。
個別対応型で一つ一つ長所を伸ばしていきました。
その中で固まってきたのがコンサルティングの考え方とやり方、方法論と哲学です。
船井幸雄の本に書いてありますが、ある経営者達が「これはまさしく一つのスタイルになっていて流行りの手法じゃなくてスタイルや」と「これは船井流と呼びなさい」と言ってできました。

「船井幸雄ノート」と全社員への直接発信

(岡)船井幸雄さんは、人生で大切なこと、例えば会社の対策などを全部ノートに書きます。
「船井幸雄ノート」に書き、月2回引退するまでやっていました。
東京と大阪で月2回全体会議があり、月中と月末に船井幸雄コーナーが最初にありました。
そのときに船井幸雄が気がついたことや、この1カ月間取り組んできた「これが大事なんや」いうことをホワイトボードに書き、みんなに直接トップが全社員の前で東京と大阪で話し続けていました。
すると外部からも「船井さんこれいいよ」と言われてるような考え方や、やり方、さらに自分がリアルに毎月毎月、月2回話をしていくと組織内に浸透していきます。

この独特の船井幸雄さんの考え方と、やり方をもつ社員がどんどん増えてくる中で船井総研の中に定着したんです。
やはりトップが言い続けることが非常に大事で、私も中途入社で入り船井幸雄さんと話しました。
月2回ですから、結構会議日が早くやって来ます。
月2回なので、東京と大阪合わせて、船井幸雄さんは4回やっていました。
これを毎月毎月やるから、話もだいぶ重複してきます。
重なってくるんです。
当然単発の話ではなくて、続いてるので自分自身の仕事も重なってきます。
なので聞いてるほうも、また言っているなとか、この間も聞いたけどこれが大事なんだろうということが、毎回毎回楽しい話ではなくて一貫性がある話の中で体質の中に落とし込まれていくわけです。

船井流は常に更新されていく

(岡)外部の人が評した船井幸雄さんのやり方を船井流としたほうがいいように、今多分船井流というのは、船井幸雄のものではないんです。
このような私見を持っている方はあまりいませんが、今船井流というものは船井総合研究所のものでもないんです。
船井流というのは、その考え方が好きな企業集団、沢山のクライアント企業や、昔お手伝いした会社など、船井幸雄の本を読んだ人のものなのです。
もう船井総研グループの中にはないんです。

ただ我々が船井流の本家本元なので、既にベースの船井幸雄さんが形作ってきた考え方と、やり方に関してさらにブラッシュアップしたり、時代に対応していく本家本元です。
本家本元なので、私たちのことをよく研究、勉強してくれたクライアント企業に負けずに磨いていくことが非常に重要で、船井幸雄ファンの船井流というのは完成したものではなく、常に誰かが更新しているんです。
世代を超えて積み重ねられて残ってきたもの、真髄が船井流のベーシックな原理原則になってきて、多分今はまだ船井幸雄さんが亡くなられて、まだ時間も短いですし船井幸雄さんと直接仕事した人間もいますが、10年20年経つとそういう人間はみんないなくなります。

それでも多分詠み人知らずで、ずっと500年、1000年と続いていくと思います。
500年から1000年くらい続くくらい私たちは千数百人の人間が、毎日毎日交錯しているんです。
これを何十年もやっていく、これからも続けて行くすごい経験値です。

船井流の考え方でやってみてよかった。

分かったことはさらに積み重ねていくので、未来に対しても止まることなく発展していく経営の手法や、マーケティング理論になっていくのではないかと。
だから皆さん自身がサグラダ・ファミリア教会のガウディが船井幸雄さんで瓦作ってますとか、人間の彫刻やってますという一部分を私どものコンサルタントがやっているんです。
自分は船井総研グループにいる間に瓦の一枚、彫刻の一彫りぐらいでも参加して、足跡を残したり影響を与えたほうがいいのではないかと思います。
私も微力ながらやっている、みんなで進んでいる、みんな改善して進んでいます。

多分当面の間、途切れることはないでしょう。
船井幸雄さんのパッションが月2回、数百人の社員に言い続けてきたことによって生まれた説法です。

これが船井総合研究所が船井流を作ってきた、古い理論だけを皆さんにお話しするつもりは全然なくて、古い理論を抑えながら最新版に更新してアップデートしていくということが船井流では大事です。
その中でクラシックな理論はきちっと自分も体得しておくということが大事です。

船井流の活用と発展

(宮井)今回、船井流経営法の動画で岡さんに話して頂いた内容を、それぞれコンサルタントも、お客さんも、経営者の方も見て頂いて、自分なりの船井流を作り上げて頂けるきっかけになったらいいなと思います。

(岡)船井流の原理原則やノウハウ等の話を聞いて、100%その通りだと思う方もいるし、90%はその通りだと思うけど、10%は違うと思う時があるかもしれないです。
この10%を切り捨てるのではなくて、10%を進化させたり自分の会社や自分の業種にフィットさせるためにはこうしたらいいのではないか、この問題意識が船井流を発展させます。
捨てるともったいないです。
船井流が古いとか、うちの業種とは合わないと切り捨てるにはかなり損すると思います。

実践されていると成功確率は高いです。
ちょっと不具合があるという方で、サイズが合わない話を捨てるのというのはもったいなくて仕方がないです。

(宮井)なるほど ありがとうございます。
今回は岡さんに船井流はどのようにして生まれたのかについてお話頂きました。
岡さん、ありがとうございました。

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