コンサル事例一覧

  • 物流・環境・エネルギー分野

電気工事業の新規事業開発

喜びの笑顔が原点。サービス業に転換した
8年連続増収増益の電気工事業

CASE STUDY 事例紹介

第一電建株式会社

設備工事/電気

CLIENT お客様 第一電建株式会社 代表取締役社長 髙山 幸治氏 様

ありがとうの笑顔が忘れられなくて、一般家庭向けサービスを本格的に事業にしようと決めました。従来は信号取り付けや街灯取り付けなどの外線作業、建物内の内線作業といったいわゆる電気設備工事業を行っていましたが、建設業界の将来を見据え、一般家庭向けの電気修理サービスを始めました。

エアコン修理やインターホン取り付けなど、従来の工事よりも単価が安いため、あくまで合間に行っていましたが、お客様からの「ありがとう」「本当に助かりました!」といった笑顔が忘れられませんでした。従業員たちも嬉しく感じたようで、作業を終えて会社に帰ってきた時の社内はいつも心地よい雰囲気に包まれました。電気工事を通じて地域の暮らしに寄与できることは、私どもの価値になると考え、BtoC向けサービス「住まいるレスキュー隊」を本格的に始めることにしました。
信号の取り付けや街灯取り付けなどの外線作業の様子

ちょうど時期を同じくして、船井総合研究所から個人向け工事サービス立ち上げセミナーのDMが届きました。施工メニューやオペレーションなど、立ち上げのお手伝いをお願いしました。

主な集客媒体はホームページやチラシで、幅広いメニューと作業時間、価格、工事保証をすべて明確にし、不安材料のないよう情報を掲載しています。お問い合わせに増して、直接依頼をされる電話が多く、安心してご依頼いただいていることがわかります。きっかけは小さな作業の依頼でも、リピート依頼をいただき、大きな工事を任されることもあります。通常、見知らぬ人が家に出入りするのはあまり気分のよいものではありませんが、一度サービスに伺うと、その後も信頼してお願いされることが多いのです。

この事業のために人を常駐するなど勇気も必要でしたが、今は一つの事業の柱として見込めています。既存事業も含め、会社全体では8年連続の増収増益で推移できています。 主な集客媒体であるチラシとホームページ

経営指針を従業員の軸に

しかし仕組みを取り入れただけでうまく稼動できるとは思えませんでした。経営の軸をあらためて見直しました。いかにきれいな工事をするかよりも、いかに人に喜んでもらえるかを追求しようと決めました。つまり、電気工事業でなく、一転してサービス業になろうということです。従業員自身も感じた「すべては『ありがとう』という笑顔のために」という企業理念が、一人ひとりの存在意義となるべく、今までなかった経営方針を構築しました。

従業員が本能的に動き、お客さまの笑顔を生むために、経営基本方針や理念を伝えるマインド研修を始めました。毎週土曜日に全従業員が会社に集まります。この学びが必ずお客様の喜びに繋がると信じて、この時間には予定を入れないようにします。
また外部講師を招いて、お辞儀の仕方、接遇、おもてなし研修を行います。信号工事にお辞儀は無関係に見えますが、作業の質が変わり、対応もよくなります。内線作業の従業員は、自身で工事の営業提案ができるまでに成長しています。 (写真左)自主性を育てるために“気づき力”を養う実践的な研修
(写真右)社長も研修の講師を務める。

地域の心をつなぐ「おやじ」

「サービス業が電気工事を行う」という会社方針の大転換は、従業員にとっても従来のスタンスを変える必要があります。会社の体質を大きく変える上で最も大切なのは、心でつながる、人間的な会社を作ることです。従業員と労使の関係では、マインドは伝わりません。工事作業よりも会社が好きになってもらうべく、私はいわば家族の中の「おやじ」になることを心がけています。おかげで離職率は、独立や結婚を除いてはゼロです。あるとき、従業員の子どもが生まれたとき、誰よりも先に電話をくれました。心のつながりができていることを実感した瞬間でした。

電気工事業だからといって別の事業領域に手を出せないことはありません。隣接する技術を身に付けることは難しくないはずです。お客様の暮らしを中心に存在意義を考えれば、縦割り業界の常識を自然に取り払うことができました。
私どもの目指す姿は、地域の真ん中で、子どもや孫を働かせたいと言われる会社です。規模拡大よりも、10年後もみんなが笑っている会社にすべく、さらに笑顔を追求していきます。
地域向けに行ったイベントは、子どもからお年寄りまで1,000人を超えるにぎわいを見せた。